一枚岩会議®は人が育つ組織風土づくりである
私が組織でマネジメント職に就いたとき、まず行ったことは課の目標達成のための方針や戦略、具体的なアクションプランをつくり、メンバーに共有することでした。そして各メンバーに役割を分担し、目標を割り振り、実行プロセスに入っていったことを思い出します。そして次に大きな仕事は、部下の育成でした。
部下それぞれの現状と将来に向けた願望がありますから、面談で聞いていきます。同時に、私が日ごろ観察しながら思っている現状や将来への期待も伝えていきます。部下の現状と願望(あるいは私の期待)のギャップが一つの成長ポイントですから、半年や一年をかけて取り組んでいくことになります。振り返ってみてマネジメント職として、部下の育成に真剣に取り組んできたと思っています。そしてもう一つ、チームの育成、いわゆるチーム力を強化することも大きな仕事だったと思いつつ、どちらを優先してきただろうか、とも思っています。
部下の育成とチームの育成です。
ある会社の一枚岩会議®について、社長に対して3年計画の3年目について提案しました。2年間一枚岩会議®に取り組んできて、経営としてどんな成果があったのか、どんな成長があったのかを話してくださいました。具体的には一枚岩会議®を実施するまでは存在しなかったミッション、ビジョン、バリューが決まり、2年連続増収です。経営チームは週に一回必ずミーティングを実施して方向性や打ち手を確認し、進捗を追いかけています。
「どなたが一番成長したと思いますか?」、私は意図をもって聞いてみましたが、「全員でしょう!」という答えが返ってきました。
3年目は経営チームに加えて営業部の一枚岩会議®を提案しています。社長はやった方がいいと思いながら、経営から指示を出すことはしたくないと。営業部の役職者でミーティングを行って、彼ら自身が決めてほしいとおっしゃっていました。
自己決定には、決定した側に主体性と責任が伴いますから、彼らが決定した方がいいでしょう。
そしてこの会社は営業部としてどんな研修をしていったらいいのかについても検討しています。
私は、「営業部が一枚岩会議®で決めたことを実行するプロセスで、自分たちには何が必要か、つまり何を学ぶ必要があるのかについて彼らは気づくことになるでしょうね」と申し上げています。日常の仕事の中で、営業は売上目標をしっかりと意識し、達成のために動いていきます。そして売上目標の達成か未達かに気持ちは振り回されることになります。年間の売上目標の達成が見えてきたりすると、「来期に取っておこう」というような後ろ向きの考えが出てくることもあるでしょう。
この会社には、誇れるビジョンがあります。実現したいビジョンです。この会社の製品があらゆるところで使用されることを通して彼らが望む世界が実現している、というビジョンです。営業部は売上目標の達成の先にこのビジョンの実現を思い浮かべることがあるでしょうか。売り上げた製品の数だけ、ビジョンが実現している光景が拡がっています。そのことに気がついているでしょうか。
部下の育成が先か、チームの育成が先か…
私の今時点の答えは、人が育つ組織風土づくりを意図しながら、チームを育成と部下の育成を同時に行っていく。経営陣が自ら学び、従業員の主体性と責任を醸成しながら自ら気づき学びを選択していくことを促していく、そんな組織の風土ができたなら、組織はビジョンを実現していくでしょう。