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コーチングの原点と未来

その他(プロジェクト・書評など)

2025.5.26

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かつて私が高校野球の監督をしていた頃、指導とは「教えること」だと信じて疑いませんでした。練習メニューを組み、技術を伝え、ミスには叱責をする。今では考えられないような、当時の熱血高校野球の監督そのものでした。

今の時代なら、3日でクビになっていたかもしれません(笑)。

名著「インナーゲーム」との再会

実は、自分が現役だった大学3年生のときに名著『インナーゲーム』に出会っていたのですが、指導にはまったく活かせていませんでした。

そして、それから約20年の歳月が経ち、コーチングを学び直す中で再びこの本に触れ、ようやくその本質的な意味を理解することができたのです。


「コーチング」という言葉は、ハンガリーの「コチ(Kocs)」という町の馬車に由来するといわれています。「目的地まで人を運ぶ」──その語源の通り、コーチは伴走者です。


しかし当時の私は、「目的地に無理やり連れていく馬車」だったように思います。熱心な指導者ほど、「こうあらねばならない」という観念を握りしめがちです。


若者の反応から感じた「コーチング的発想の浸透」

22年前、ビジネスコーチに出会い、現在のチームコーチングに至るまでの道が始まりました。基本に立ち返って1対1のセッションを重ねる中で、最近の若い世代は「聞き分けがよく素直な人が多い」と感じています。


おそらく、先生や親、周囲の大人たちが「聞き分けのよい大人」に変化したからでしょう。

これは、まさに「クライアントが答えを持ち、無限の可能性を信じ、伴走する」というコーチング的な発想が社会に浸透してきた結果かもしれません。


優しいだけでは届かない、成長の分岐点

ただ、一つ気になることがあります。


それは、「やる人とやらない人」の差が明確になってきたということです。

承認され、励まされて主体的に動く人は大きく成長する一方で、やらない人にはほとんど成長が見られない。昔以上に、成長の格差が広がっていると感じています。


その背景には、「厳しさが足りない」現実もあるのではないでしょうか。


私自身、コーチングを学び始めた頃、「厳しさは昔の指導法」として避けがちでした。ですが、高校生たちはわずか3年間で大きく成長します。その成長には、時に厳しい関わりも必要だったと今は実感しています。


現代に合った「信じて厳しく関わる」スタイルの必要性

「厳しさ=パワハラ」ではありません。

現代に合った“信じて厳しく関わる”スタイルが必要です。


最近では、「ホワイトハラスメント」という言葉も生まれ、上司や大人が過度に気を遣いすぎて委縮しているとも聞きます。ですが、私は信じたいのです。

厳しさには、やはり成長を促す力があると。


だからこそ、正しくコーチングを理解し、活用することが大切です。

本来のコーチングとは、「寄り添い」「自ら考えさせ」「そして厳しさをもって成長を支援する」ものです。


若手育成に悩む方がいれば、ぜひ一度、コーチングを学び直してみてください。

それは、これからの時代に最も必要とされるビジネススキルのひとつだと、私は信じています。


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