お仕事のご依頼はこちら

プロフェッショナルの条件

エグゼクティブコーチング・コーチング

2026.6.9

photo

プロフェッショナルの条件とは?

「あなたにとってプロフェッショナルの条件とは?」と問うテレビ番組がありました。それに登場する様々な分野のプロフェッショナルが番組の最後に問われて、それぞれの信念を語ります。膝を打つほど感心することもあれば、ときには心に留まらない発言もありました。

もしも私がインタビュアから「あなたにとってプロフェッショナルの条件とは何ですか?」と問われたらどのように答えるだろうかと考えてみました。まずは私の仕事をコーチ、そしてチームコーチングメソッドを使った「一枚岩会議Ⓡ」実践者であると絞って考えてみました。さらに私の仕事だけでなく、一般化できるかどうかを考えた上で修正しました。

そうして出てきた私の答えは、「プロフェッショナルの条件とは、その場に3人のパーソナリティを登場させる『脳力』があること」となりました。


3つの視点

誰の立場でものごとを捉えているか、その視点の区別を「知覚位置」と言いますが、3つの知覚位置が基本となります。第一の視点は当事者の視点であり体験です。自分自身の肉眼でものごとを見て、ありのままを聞いて、生々しく感じるということになります。

第二の視点は相手の視点です。例えば、ビジネスの場面であれば売り手に対して買い手の立場、社員に対して経営者の視座、夫婦であれば夫に対して妻の立場となり、演劇の舞台であれば俳優に対する聴衆の視点です。

第三の視点とは特定の場面において冷静な観察者の立場です。そしてメタの位置(メタ・ポジション)もそうです。メタの位置とは自分自身を少し離れて見ている精神的な状態です。メタの位置にいる自分が自分の言動を評価したり励ましたり、ときには次はこれだと指導してくれたりするのです。

知覚位置はそれぞれに肯定的な側面と否定的な側面があります。第一の視点が得意で強い人は当事者ですから、問題解決の真ん中に入り事態を動かし変化や成果を作る力があ

ります。一方でネガティブな側面としては自己中心に陥り、自己正当化し、人の意見に耳を傾けないという罠にはまりがちです。

第二の視点が強い人は他者を思い遣る特性がありますから共感的で慈愛の人です。一方で他の人の立場を気にして、自分の主張を脇に置いて自己犠牲的な選択をしがちです。

さて、第三の視点が得意な人は全体像を把握して客観的に物事を判断することができます。ネガティブな側面としては、当事者として火中の栗を拾わないので周りからは「傍観者」「理屈っぽい」とか「いつも他人事」だと批判されることにもなります。


3人のパーソナリティを登場させる

3つの知覚位置を紹介しましたが、それぞれが独特なパーソナリティを形成し、そこに独自の才能が表出するのです。

パーソナリティの語源は「ペルソナ」というラテン語であり、「仮面」と訳すのですが、ユング心理学では人間がそれぞれの状況に応じて使い分けている表の人格のことを意味しています。私たちは様々なペルソナを意識的、無意識的に持っていて、その状況で最善だと思って選んでいるのです。別の見方をすると、多くのペルソナを状況に応じて使い分ける柔軟性があるかどうかで人の有能さが決まるといっても過言ではありません。

どの分野のプロフェッショナルであれ、仕事をするときに第一の視点を得意とするペルソナを身に着けた自分が問題解決に動き、望ましい成果を生み出すように責任を果たしていくことが重要です。

その時に独りよがりにならないように、クライアント、顧客、観客、上司、メンバーの立場でものごとを捉えることを可能にする第二の視点を得意とするペルソナを被った自分を登場させて価値を高めるように調整します。

そうして同時に第三の視点を得意とするペルソナを登場させて、状況全体を把握しながら、メタ視点で自分自身の言動を冷静にモニタリングして適切な次のステップへと誘導する能力を発揮させます。


プロフェッショナル・コーチの道具箱】

2026年4月30日のテレビ東京「カンブリア宮殿」に、株式会社コマニーの塚本健一社長が兄弟で出演されました。

塚本さんは、自社の製造部門におけるチームコーチングを見学した後、ご自身もメンバーとして参加する経営リーダーチームのチームコーチングに臨みました。その最初の2日間を終えた時点で、「チームコーチングは総合格闘技ですね」と感想を語られました。製造部門と同じ流れになると思っていたものの、経営リーダーチームではまったく異なるプロセスになったことへの驚きが込められていました。

プロフェッショナルであるとは、卓越した数多くの技術を隠し持っているということでもあります。私は2004年にPHP研究所から刊行した『実践 ビジネス・コーチング ~プロフェッショナル・コーチの道具箱~』を、2025年に『プロフェッショナル・コーチの道具箱』へ改題し、装丁も新たにして出版しました。刊行から四半世紀近くになる本ですが、ビジネス・コーチングの世界では教科書のような一冊だと自負しています。コーチング実践者にとっての基本であり、不易流行でいう「不易」、すなわち普遍的な考え方と技術を伝える内容です。

「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、一方で平安時代からのことわざとして「弘法も筆の誤り」とも言われます。たとえ達人であっても、選択肢があるなら最適な筆を選ぶほうが、より優れた作品につながるはずです。

どの分野でも、現場で「3人のパーソナリティ」を働かせながら経験を積むことで、学びは深まり、「プロフェッショナルの道具箱」には役に立つ道具が増えていきます。そして、その中から状況に応じて最善の道具を選べるか、さらに選んだ道具を的確に使えるかが、プロフェッショナルとしての力量を測る基準になるのだと思います。


筆者

田近 秀敏

田近 秀敏 筆者プロフィール
コラム一覧に戻る

CONTACT

チームコーチングについてご不明な点など
コーチングを検討されている企業様は
お気軽にご連絡ください。

受付時間9:00 - 17:00(土日祝休み)