「営業」の仕事
前職のキリンビール営業時代の話です。
私が入社した1988年は、アサヒビールのスーパードライが発売された翌年。その勢いが市場を席巻し始めている時でした。アサヒビールのおひざ元でもあった大阪に配属された私は、その勢いを目の当たりにしました。
得意先の中には、キリンの商品しかなかったショーケースに、1週間後に行くと半分がスーパードライになり、1か月後にはすべてがスーパードライになるというお店もありました。まさにお手上げ状態でした。為す術がないというのはあのような状態をいうのだと思います。
顧客志向と営業活動のジレンマ
私は、キリンビールの社員ですからキリン商品の拡販が仕事です。しかしながら、スーパードライを飲んでいるお客様にキリンビールの商品を飲んでくださいというのはメーカーのエゴでしかない。メーカーが売りたいものをお客様に押し付けるのはお客様本位ではないと思っていました。
だから、キリンビールの商品を無理にお客様に勧めては絶対にいけないと信じて、営業活動にもあまり身が入っていなかったように思います。
「価値がない」のではなく「価値を届けられていなかった」という真実
振返ると、当時の私は、自社商品に対する自信と誇りを失っていたのです。「売れない=価値がない」という思い込み。でも真実は、「売れない=商品の価値をお客様に正確に伝えられていない」だったのです。
商品が売れるのは、お客様に期待(価格)以上の価値を提供するからです。だから、世の中で売れているものはすべてお客様にとって価値あるものです。その価値を、それを創っている会社の社員が信じていなかったら・・・。売れるものも売れなくなるのではないでしょうか。
営業の本質は「価値を伝える力」
実際に、キリンビールの商品には素晴らしい価値があります。キリンビールだけではありません。
アサヒビール、サッポロビール、サントリーがつくっている商品もすべて世界に誇ることができる価値があります。その価値をいかにお客様の心に届けることができるか。これこそが営業の大切な仕事だと私は思うのです。
競合他社と比べてではなく、お客様にとって自社商品はこれだけの価値があるのだと、お客様に確信をもって伝えることが営業の仕事であり、自社商品の価値を物語る力こそが営業の強みだと思うのです。それは、自社商品に自信と誇りを持つことでもあります。
価値を物語る力が未来を変えていく
あなたの会社が提供している商品やサービスには、どんな価値があるでしょうか。そして、その価値をどのくらいお客様の心に届ける努力をしているでしょうか。
どの商品にも価値があります。その価値を物語る力が商品のブランド力をさらに高める。営業とはそのような尊い仕事だと私は思うのです。
そして、自社商品の価値を探求すればするほど商品に対する自信と誇りがあふれてくるでしょう。すると明日から何が変わり始めるでしょうか、あなたが商品に対する自信と誇りを取り戻し、それらを物語る力を発揮し続けることで。
