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2026.7.2

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自利・利他・円満とは何か

「自利利他円満」という言葉が仏教に由来するものだと、最近知りました。

「自利は利他なり。利他は自利なり」という考え方には、直感的にうなずけるものがあります。

一方で、それだけでは「円満」という言葉が精神的な側面に寄りすぎているようにも感じます。実生活を送る私たちにとって、円満とは何を意味するのでしょうか。

人生の意味を探求し続けたヴィクトール・フランクルは、人生を砂時計に例えました。最後の一粒がいつ落ちるのか、誰にも分からない砂時計です。

私たちは、刻々と残り時間を減らしながら生きています。そして、最後の一粒が落ちたときに人格が決まるのだとフランクルは言います。

これは、私たちの時間の使い方を問い直す強烈なメッセージです。


自分の時間を何に使うのか

生きている私たちにとって、最大のリソースは何でしょうか。ここでは、それを「残り時間」だと考えてみます。

自明のことですが、私たちにはいつか死ぬ時が来ます。

80年の人生を時間に換算すると、約75万時間になります。

40歳を迎えた頃、私たちはそのほぼ半分を終え、人生の後半に入っていることに気づきます。

では、その残り時間を何に使うのか。まず考えたいのは「自利」です。

自利とは、自分を喜ばせ、自分に成長の機会を与えることです。

たとえば、自利には次のような活動が含まれます。


•癒し、心身のケア、遊び、自己承認

•スポーツ、趣味、体づくり

•勉学、読書、専門分野の探求、技能の習得

•金融リテラシー、作品づくり、自分の在り方磨き

•学友や仲間との出会い、興味関心の広がり


人は、自分が成長し、よりよく変化していると実感するときに喜びを感じます。

その過程でミッションやビジョンを意識し始めると、関心は少しずつ自分の外側へ向かっていきます。

自分磨きは、自分自身を満たすだけでなく、市場価値を高め、やがて誰かの役に立つ力にもつながっていきます。


自利から利他へ

自利が深まると、次に「利他」へと意識が移ります。

利他とは、人に喜んでもらうこと、世の中の役に立つことです。

利他の領域では、次のようなことが焦点になります。


•家族や友人とのつながり、生命の再生産(子作りと子育て)

•学びや趣味を通じたグループ活動、人脈づくり

•ビジネスパートナーやチームとの協働

•顧客との出会い、顧客が顧客を呼ぶ善循環の仕組みづくり

•仕事における感動品質の提供、社会貢献活動


家族を作り、子供を育てることは利他の領域です。

この国の未来を信じ、自分だけの経済合理性を超越する精神を持たないとお金も時間もエネルギーもかかることを承知で子供を育てようとは思わないのではないでしょうか。

それは次世代への貢献になるのです。

また人の役に立つ力がなんであれプロフェッショナルの水準に達すると、それは仕事となり、収入へと変換されます。

今まで筆者が多くの人に「幸福感や充実感を得るのはどんなときですか」と尋ねてきたところ、答えは大きく二つに分けられるように思いました。


•高い目標を達成したとき、または難しい問題を解決したとき

•誰かの役に立ったと実感したとき


つまり、自利と利他はどちらも私たちに喜びをもたらします。では、この二つがどう重なれば「円満」と言えるのでしょうか。


幸福の四角形と「富」の視点

かつて、フローレンス・シンという心理学者が「幸福の四角形」という概念を示しました。幸福の条件として挙げられたのは、次の四つです。


•富

•健康

•人間関係

•自己表現


ここでいう自己表現は、単なるコミュニケーションではなく、自分の才能を生かすことだと捉えると分かりやすいでしょう。

自利と利他の中には、「健康」「人間関係」「自己表現」の要素が含まれています。

しかし、「富」の視点が抜け落ちると、四つの条件のバランスは崩れてしまいます。

円満な状態を考えるうえで、「富」を無視することはできません。

ここでいう富とは、単なる月給や収益ではなく、人生を通して豊かさを支える資産のことです。


利他から資産形成へ

利他の活動が仕事になれば、そこにお金が発生し、私たちは収益を得ます。

しかし、収益だけで人生全体の豊かさを確保できるとは限りません。

だからこそ、利他の活動から得たお金を、金融資産や不動産などの形に変えていく視点が必要です。

とりわけ金融資産形成では、時間と複利を味方につけることが大きな鍵になります。

残り時間は刻々と減っていくからこそ、人生の早い時期から始めることが重要です。


その象徴的な人物が、本田清六です。

1866年生まれの本田清六は、日比谷公園や明治神宮外苑を設計し、「日本の公園の父」と呼ばれた東京帝国大学の林学教授でした。

本田清六は25歳のときから「四分の一天引き貯金」を始め、その資金を投資に回す蓄財法を実践しました。

その結果、現在の価値にして100億円以上とも言われる財産を築き、後に惜しみなく社会へ還元しました。

給料の25%を先に貯金し、残りの75%で生活するという方法は、自分や家族に質素な暮らしを求めるものだったでしょう。

しかし、その継続が大きな資産形成につながりました。

著書『私の財産告白』によれば、本田清六は25歳から蓄財を始め、15年後の40歳には、大学教授としての給料よりも利子や配当の収入の方が大きくなっていたといいます。

そして60歳で退官する際、莫大な財産を匿名で寄付しました。


変化に祝福を

自利とは、自分に喜びを与えることです。その最大の喜びは、自分がよりよく変化していると自覚することにあります。

利他とは、人に喜んでもらい、世の中の役に立つことです。

それは、自分の周りの変化に貢献することでもあります。

自利はすなわち利他であり、利他はすなわち自利です。

その循環がより大きな円満へ向かうためには、限られた残り時間をどう使うかを意識し、金融資産を形成していく視点も欠かせません。

そうして私たちが日本の企業に投資するようになると、結果的に国力を上げることになるのです。

自分の変化を喜び、周囲の変化に貢献し、その歩みを支える土台を築いていく。その一つひとつの変化を、私たちは祝福していきたいものです。


筆者

田近 秀敏

田近 秀敏 筆者プロフィール

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