個の能力とチームの力
2026年のサッカーワールドカップは、史上初となるアメリカ・カナダ・メキシコの北中米3カ国共同で開催され、わが日本代表は8年連続で出場します。
我々サッカーファンとしては、過去2大会連続ベスト16で敗退していますので、今大会こそはベスト8入りを果たしてほしい思いでいますが、森保監督はじめ選手たちの目標は「最高の景色:ワールドカップ優勝!」
日本サッカー協会(JFA)が掲げる理念は「日本代表が世界で活躍することで人々に勇気と希望と感動を与える」であり、「ワールドカップ優勝」を究極の目標(ビジョン)として設定しています。まさに今回はビジョン実現に向けて挑んでいく、「最高の景色」を手に入れるための大会となりますね。
深谷西サッカースポーツ少年団でサッカーを始めた私は、監督からサッカー選手に必要な「サッカーの3B」を教えていただきました。ボールコントロール、ボディバランス、そしてブレインです。現代サッカーはインテンシティ(プレーの強度や激しさ)がかなり高いので、その中で3つのBを発揮していくことが求められています。
日本代表の選手たちはそのほとんどが世界の5大リーグで、しかも強豪チームで活躍していますのでサッカーの3Bは世界水準と言えるでしょうし、ワールドカップ優勝経験チームの選手たちと比較しても、肩を並べられるほどになってきています。
個の能力とチームの力が生み出す成果
陸上日本の400メートルリレーチームが、4人の個人タイムは劣るにも関わらず世界の強豪国と互角以上に戦える最大の理由は、独自のバトン技術である「アンダーハンドパス」にあると言われています。4人の個人走の単純なタイムの合計を上回るために、減速せずにバトンをつなぐ勝敗の最大の鍵になっているものです。このチームの力を使ってかつての世界陸上ではメダルも獲得してきましたが、2025年の東京世界陸上では惜しくも第6位となりました。将来的に世界の1位を目指すならば、4人の個人タイムを世界の強豪選手と同等レベルにまで上げる必要があるのかもしれません。
一枚岩会議Ⓡが引き出す組織の知恵
先日、あるハウスメーカーで一枚岩会議Ⓡを2日間行ってきました。次世代の経営リーダーチームの一枚岩会議Ⓡで、新築、リフォーム、賃貸管理、建設設計など各部門から次代の経営リーダーが集まり、会社の経営の未来について、方向性を見出していきました。
会議は私たちチームコーチが問うことから始まります。その問いに対して、個人が持っているさまざまな意見を出していきます。個人のビジネス経験やそれぞれの人生、生き方が違いますので、一つひとつの意見は貴重なものです。改めて問われたからこそ出した個人の内側にあった答え(暗黙知)が組織全体に共有されることになります。
個々人の答えが共有されてから議論が始まります。対話を通じて意見交換し、まさに喧々諤々の議論を経てより本質的な答えにたどり着いていきます。そして最終的にはいくつかのアイデアを一つにまとめるプロセスを通じてチームのコンセプトがまとまっていきます。
チームコーチが繰り出すさまざまな問いに答え、次世代経営リーダーチームが議論を通じてまとめた複数のコンセプトのアラインメントをとることで経営の方向性が見いだされ、次世代の経営リーダーチームの経営理念実現に向けた翌日からの経営の第一歩が明確になりました。このプロセスをまわし続けることで経営は進化していくものと信じています。
私は、これは野中郁次郎氏が提唱したSECIモデル「個人の持つ暗黙知を組織全体で共有し、新しい知識やイノベーションを生み出し続けるナレッジマネジメントの基本フレームワーク」そのものではないかと思っています。鍵は人が関わり合って、知識を共有・意味づけする「場」が不可欠と言われており、この点も一枚岩会議Ⓡそのものではないかと思うのです。
森保ジャパンの主要な戦術は、基本布陣をベースに相手の強さに応じて「ボールを保持して主導権を握る形」と「堅守速攻で相手の背後を突く形」を柔軟に使い分けるハイブリッド型のゲームモデルと言われています。
個の能力とチームの力が相まって「最高の景色」にたどり着くのか、そのときを楽しみに迎えたいと思います。
