理念を浸透する

経営者の方から「組織に理念を浸透させるサポートをしてほしい」という依頼がこの数年増えています。組織の存在理由やビジョン、行動指針などを社員に浸透させたいという思いは、健全な組織への道を拓く問題意識だといえます。
そして、この問題に向き合うためには、「理念が浸透しているというのはどういう状態なのか?」もしくは「何をもって理念が浸透しているといえるのか?」を明確にする必要があります。
理念浸透の本質は「理念を具体化し、実現を決意し続ける」こと
理念をカードにして社員に配布したり、朝礼で理念を唱和したり、理念浸透のために様々な取り組みがなされています。ただ、社員が理念を暗唱できることは浸透のプロセスとはいえるかもしれませんが、その証ではないことは多くの人が経験していることでしょう。
つまり、理念が浸透しているとは、社員がそれを理解するだけでなく「生きている」必要があると私は思うのです。
では、理念を「生きる」とはどういうことなのでしょうか。それは、「理念を実現している状態を具体的に描き、それを実現すると決め続ける」ことです。
「念ずれば花開く」強い願いが知恵を呼ぶ
こう伝えると、多くの人から「どうしたら決め続けられるのですか?」と聞かれます。私は、「どうしたらできるのか?と考えている間はできないでしょう」とお答えしています。
詩人 坂村真民の「念ずれば花開く」という言葉のとおり、理念に書いてある言葉を現実世界で必ず実現すると強く願い念ずる。そうすることで、理念をどのように実現するかについてさまざまな知恵が生まれてきます。社員の心にそのような意識を育むことが、理念浸透を最も促進するのです。
「私がやる」主体性が理念を形にする
理念が浸透しているといわれる組織であっても、上から言われたこと、求められていることをやりきることが理念の実現につながると信じて一生懸命仕事をしている社員は多いが、「私が」理念を現実世界で実現すると腹を括っている社員は実際にはあまり多くないのではないでしょうか。ましてや、理念が浸透していないという組織ではなおさらのことです。
理念に書いてある言葉を現実世界で実現すると決めて、必要なことを何でもやる。うまくいくこともそうでないこともあるでしょう。それでも理念を実現すると決め続け、それらの結果から学んでひたすら理念実現の道を進み続ける。
個々の覚悟が理念を根付かせる
組織の理念は世の中への貢献が謳われています。ですから、理念を実現すると決め続けることは世のため人のために生きるということでもあります。そして、一人一人の社員がそのような生き方を選択することが、お客様からの支持につながり、目覚ましい成果を創り、理念が浸透していると言われる組織を創ると確信しています。